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教育2017/02/22

低下する子どもたちの国語力 – 「読解力向上プログラム」の成果は?

2000年(平成12年)からOECD(経済開発機構)加盟国の子どもたちを中心に学力調査が始まりました。

その学力調査で、日本の子どもたちの読解力が低下傾向にあることが分かり、文部科学省は2005年(平成17年)『読解力向上プログラム』を開始。

子どもたちの読解力を上げるため、国をあげて動き出しました。

 

その後子どもたちの読解力は向上したのでしょうか?

今回は「読解力」にスポットを当てたいと思います。

 

 

読解力はコミュニケーションの基本

 

そもそも「読解力」とは何のことを指すのでしょうか?

読解力とは、本を読んで内容を理解し、行間から筆者の考えをくみ取る力のこと。

この力は、勉強だけでなく日常生活においてもとても大切です。

 

相手と向き合い、相手の気持ちを察してくみ取る、というのはコミュニケーションの基本。

読解力がある人間は、日々の生活でも人と向き合う能力が高いといわれています。

想像力に長け、先々の物事まで考えられる傾向にあるとも。

 

思慮深く豊かな心を持ち、コミュニケーション能力の高い人が読解力のある人だとするならば、国がなぜ子どもたちの読解力を重視するかが分かりますね。

 

 

2003年、日本の子どもたちの読解力は低下傾向に

 

2003年に行われたOECDの学力調査で、日本は読解力の分野で41か国中14位の成績でした。

参加国の数を見ると決して低くはないのですが、前回の2000年に行われた調査では8位だっただけに、その大幅なランクダウンが問題になりました。

 

さらにその次の2006年の調査では15位とさらに順位を落とし、日本の子どもたちの読解力の低下は顕著に。

 

読解力の低下傾向にストップをかけるため、2006年文部科学省は対策を講じました。

それが『読解力向上プログラム』です。

 

 

2006年:『読解力向上プログラム』スタート

 

『読解力向上プログラム』では子どもたちの読む力と書く力を上げるため、次の5つを重点戦略としました。

 

(1)学習指導要領の見直し

(2)授業の改善・教職員の研修の充実

(3)学力調査の活用・改善等

(4)読書活動の支援充実

(5)「読解力工場委員会」の新設

 

5つの戦略の中で特に注目されたのが「読書活動の支援充実」です。

 

学校で授業開始前の時間を読書にあてる「朝の読書」を全国の7割の小中高校で導入したり、春夏秋冬ごとに約2週間の「読書週間」を設けたり、それぞれの学校で子どもたちがもっと本に親しむようさまざまな工夫がなされました。

 

 

2015年:子どもたちの読解力が再び低下

 

『読解力向上プログラム』が始まってから最初のOECD調査(2009年)で、日本は参加65か国中読解力で8位の成績をおさめました。

 

次の2012年の調査では4位までランクアップし、子どもたちの読解力は回復の兆しを見せました。

 

しかし、2015年の調査では再び8位にランクダウン。

OECDの調査以外にも教育現場や、さらには新入社員を教える企業でも「若者の読解力が低い」という声が聞こえるようになりました。

 

読解力を伸ばそうと対策を講じたはずなのに、なぜ現在になって再び読解力の低下が叫ばれることになったのでしょうか?

 

 

「読解力」を下げる要因

 

再び読解力が下がり始めた日本の子どもたち。

その要因として、以下のことが挙げられています。

 

・「ただ読んで楽しむ」読書

読解力は「読んで」「考え」「判断し」「表現する」ことが大切。

私たちは本を読めば自然と読解力が身に付くと思いがちですが、ただ本を読んで楽しむだけでなく、読んでどう考えるか、そしてその考えをどう表現するかという所まで持っていかないと、なかなか読解力は育たないのです。

 

・SNSの普及

スマートフォンや携帯電話の登場で、子どもたちの間でSNSが爆発的に普及しました。

SNSでのやりとりは短文が基本です。日常生活で短文にばかり触れ、長文に慣れる機会が減っていることが、読解力を下げる1つの原因だといわれています。

 

・スマホによる情報

スマートフォンで得る情報は小間切れで、こちらも短い文章が主流です。

情報を得る手段でスマートフォンがメインになることで、長文のまとまった情報を読み取る力が弱くなっています。

 

『読解力向上プログラム』のもと「朝の読書」などの活動を続ける学校は今でも多いです。

しかし、スマートフォンやSNSの生活への浸透は目を見張るものがあり、こうした取り組みだけでは読解力の低下を抑えきれないのが現状なのです。

 

 

読解力、どう育てる?

 

読解力を伸ばすためには、論理がしっかり構成された長い文章に日頃から触れることが大切です。

 

本を読んだなら、読んで終わりではなくその内容を400字から500字でまとめる。こうした「要約学習」は読解力を上げるためにとても有効だといわれています。

要約は本の内容に加え「5W1H」考えなければならないので、論理的に表現する練習にもなります。

 

また、新聞の社説のようなよくまとまっている文章をそのまま書き写すことも実用的です。

読んだ内容を文字に起こすことで、文章の論理的な構成方法を自然とインプットできるからです。

社説を写すのはそれ専用のノートも売っているので、取り組みやすいかもしれません。

 

「読んで書く」という作業は、考えることが必要になってくるので読解力を伸ばす学習方法としておすすめです。

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