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海外2017/03/29

「恐竜」という言葉をつくったダーウィンの宿敵 – リチャード・オーウェン

かつて地球上に存在していた生物、「恐竜」。

 

今でこそ私たちに馴染み深い「恐竜」という言葉ですが、誰が最初にこの言葉を名付けたか知っていますか?

 

今回は、「恐竜」の名付け親であるイギリスの生物学者、リチャード・オーウェンについて紹介します。

 

 

 

比較解剖学の寵児

(リチャード・オーウェン,1804年 – 1892年)

 

リチャード・オーウェンは優秀な生物学者で、とりわけ比較解剖学の分野でさまざまな功績を残しました。

 

比較解剖学とは生物学の一種で、さまざまな生物の構造を比較し調べる学問です。

研究の対象は現存するものだけでなく、絶滅した生物にもおよびます。

発掘された化石をもとに、かつて存在していた生物の生態を解き明かしていくのです。

 

 

彼は爬虫類や哺乳類、鳥類というありとあらゆる生物を研究し、次々と論文を発表しました。

 

そんなオーウェンが「恐竜」の存在に気付いたのは、世界で独特な特徴を持つ生物の化石が発見され始めた、1830年代後半のことです。

 

 

「恐竜」との出会い

 

1825年、イギリスで『イグアノドン』という巨大生物の化石が発見されました。

発見当時イグアノドンは「大型のトカゲ目」の一員で、イグアナの仲間だと考えられていました。

 

その後1832年に『ヒラエオサウルス』、1836年に『テコドントサウルス』、1837年に『プラテオサウルス』の化石がそれぞれ発見されると、オーウェンはこれらの生物の独特な特徴に注目します。

 

「これらの爬虫類生物は、今ある爬虫類グループのどれにも属さないかもしれない」と考えたオーウェンは、研究を重ねました。

 

研究の結果、この独特な生物には共通の特徴があり、どの爬虫類グループにも属さない、新しいグループであることが明らかになったのです。

 

 

「恐竜」の誕生

 

1841年、オーウェンはこれらの巨大な爬虫類生物を「恐竜(dinosaurus)」と名付けました。

 

「dinosaurus(ディノサウルス)」は、ギリシア語の「ディノ(恐ろしい)」に「サウルス(爬虫類などの生物)」を組み合わせた造語です。

恐ろしい爬虫類…まさに特徴を押さえていますね。

 

こうして生まれた「恐竜」という言葉は生物学界だけでなく、世界中に広く浸透しました。

 

 

永遠の宿敵?チャールズ・ダーウィン

 

チャールズ・ダーウィンはオーウェンと同じ生物学者で、有名な『進化論』を唱えた人物です。

 

オーウェンとダーウィンの間には、深い確執があったといわれています。

しかし、元々2人は仲の良い友達だったそう。

 

ダーウィンの『進化論』とは、生物は自然界で生き残るため長い時間をかけて進化してきたと主張するものです。

人間も元々はサルの仲間であり、自然界の生存競争に負けないために少しずつ進化を遂げてきたというのです。

 

2人の仲に暗雲が立ち込めたのは、この『進化論』が原因でした。

オーウェンは、どうしてもこの『進化論』が受け入れられなかったのです。

 

 

『進化論』はけしからん?

 

今でこそ「人間はサルから進化した」という説は当たり前に受け入れられていますが、当時キリスト教の世界では、人間は特別な存在で神様によってつくられたと考えられていました。

 

また、生物は神様によって誕生させられるもので、進化によって生まれるものではないとも考えられていました。

 

こうしたキリスト教の考えを真っ向から否定するダーウィンの進化論は、ことごとく反論されます。

それまでダーウィンと仲の良かったオーウェンもこの進化論が受け入れられず、次第にダーウィンを厳しく批判するように。

 

 

オーウェンはダーウィンや進化論の支持者をあらゆる所で酷評し、嫌がらせまでしました。

彼にとっては、どうしても許せないことだったのでしょう。

 

しかしこうした一方的な批判は、ダーウィンに

 

『私は彼を憎んでしまうことを常々恥ずかしいことだと思っていた。しかし今は、我が生涯最後の日々に憎しみと軽蔑を入念に心に留めようと思う。』

 

とまで言わせてしまうほどでした。

やりすぎだったのです。

 

結果、オーウェンは学界で次第に孤立するようになります。

 

 

リチャード・オーウェンの残した財産

 

オーウェンの晩年は、妻と子どもにも先立たれ孤独なものだったそうです。

 

数々の功績を残してきたにも関わらず、オーウェンはなにかと悪者にされがちです。

彼の人格に問題があったからだ、といわれることもありますが、本当にそうだったのでしょうか?

今となっては、確認する方法はありません。

 

オーウェンの持つ生物学に対する絶対的な情熱は、ときに自らの身をも焦がしたかもしれません。

しかし彼の残した功績は確かな財産となり、現代にも息づいています。

 

「恐竜」という言葉がこれほどに浸透した世界を見たら、オーウェンはなんて言うでしょうね。

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