今や1人1台は当たり前。日常生活に無くてはならない存在の携帯電話。
携帯電話が生まれたのは今から約30年前の1985年です。
わずか30年間の間に携帯電話はどんどん小さく、薄く、そして便利になっていきました。
今回は、そんな携帯電話の今昔を見ていきます。

1985年:国内で初めてポータブル電話機が発売される

(ショルダーホン100型:NTTDocomo)
それまで、屋外で使える電話といえば車にバッテリーやアンテナを搭載して使う車載型の「自動車電話」がメインでした。
しかし1985年に、当時の電電公社(今のNTTの前身)が、自動車から離れても使えるワイヤレスフォンを開発しました。
それが携帯電話の元祖と言われる『ショルダーホン100型』です。
「ショルダー」という文字通り肩から下げて持ち運びする電話で、重量や約3kg。電源は8時間しかもたず、通話は40分までしかできませんでした。
当時はあまり一般的ではなく、使い勝手もそれほど良いものではなかったそう。
1987年:「携帯電話」の登場

(携帯電話TZ-802型:NTTDocomo)
1985年に発売されたショルダーホンは、ポータルブル電話機としては活気的でしたが、まだ「自動車電話の発展型」という枠組みでした。
対して、1987年に発売された『携帯電話TZ-802型』は片手に収まるほど小型化しました。
このTZ-802型の登場で、ポータブル電話機は「自動車電話の一部」から独立、「携帯電話」と呼ばれるようになりました。
しかし、ショルダーホンに比べてかなり軽量化したとはいえ、重量は約1kg。
通話時間は60分までしかもちませんでした。
この年に、auを手掛けるKDDIの前身である日本移動通信や関西セルラーが設立。
少しずつ携帯電話を手掛ける会社が増えていきます。
1990年代初期:超小型化により、さらに普及

(ムーバTZ-804型:NTTDocomo)
1991年にNTTから超小型サイズの携帯電話『ムーバ』が発売されました。
約1kgあったそれまでの携帯電話に比べ、ムーバは約230g。世界最小と言われていました。
当時、携帯電話はレンタル制で、端末はあくまでも借り物でした
しかし1994年に現在のような買い取り制に移行。「自分の携帯電話」を持てるようになり、契約数はさらに増えました。
同じ頃、ソフトバンクの前身であるデジタルホングループ、そしてツーカーグループが携帯電話市場に新規参入します。
これによって、市場の競争が激化。さまざまな機種が登場するようになります。
1990年代後半:携帯電話でメール、インターネットができるように

1997年にデジタルホングループが携帯電話で短いメッセージを送れるサービスを開始すると、各社がこぞってメールサービスを始めます。
1999年には携帯電話からインターネットにつなげる「IP接続サービス」が開始し、携帯電話でメールとネットができるようになりました。
さらに、デジタルホングループとツーカーグループが経営統合して「J-フォン」が誕生すると、J-フォンが国内初のカラー液晶の携帯電話を販売します。
こうして1990年代後半に携帯電話は一気に開発が進み、さらに便利になっていきました。
2000年代:携帯電話の黄金期

2000年にカメラ付き携帯電話が発売されると、携帯電話の普及率はさらに増加。
2001年に写真をメールで送れる「写メール」のサービスが始まり、さらには動画撮影もできるようになりました。
2004年に、携帯電話に支払い機能を持たせた「おサイフケータイ」が登場。
2006年には、テレビを見られる「ワンセグ」機能が追加されます。
2000年代はまさに携帯電話の黄金期。
2007年には携帯電話の加入台数が国内で1億台を超え、携帯電話を持っていない人の方が珍しいくらいになりました。
このまま発展していくかに思われた携帯文化ですが、2000年代後半に登場したiphoneの存在が、携帯文化に変化をもたらします。
2010年~:スマーホフォンが市場を変える

2008年にソフトバンクからiphoneが発売されると、それまでの「携帯文化」から時代は一気に「スマホ文化」へと変わります。
iphone以外にも各社がスマートフォンを開発・発売し、いわゆるフューチャーフォンと呼ばれる従来の型の携帯電話はすっかり影をひそめるように。
フューチャーフォンよりも飛躍的に機能が増えたスマートフォンは、より人々の生活に浸透し、離れがたい存在となりました。
2016年の記録では、国内のスマホ利用率は72.2%。
10代に限ってはなんと94%がスマートフォンを利用しているそうです。
現在、携帯電話市場はスマートフォンがほぼ独占しています。
今後この形が崩れることはあるのでしょうか。
あるとしたら、さらに革新的な機能を持った携帯電話が登場するということなので、少し楽しみでもありますね。