吹き荒れる「ポピュリズム」の風

2016年は「ポピュリズム」という言葉が世界中に吹き荒れました。
ポピュリズムで大衆の心をつかんだトランプ氏がアメリカ合衆国の大統領になったのは記憶に新しいですね。
そもそも、「ポピュリズム」とはなんでしょうか?
ポピュリズムは「大衆迎合主義」とも言われ、大衆受けはするけれど現実的ではない政策を打ち出して国民の不満や怒りに火を付け、実現させようとする政治的な思想や運動のことを言います。
ポピュリズムの問題点

ポピュリズムを利用する政治家は、エリート層や国の支配勢力を批判して、まるで自分たちは民衆の味方であるかのように振る舞います。
そのこと自体は悪いことではないのですが、ポピュリズムが過熱すると新たな問題が生まれます。
それは「行き過ぎたナショナリズムを生み出すこと」です。
世界中で問題となっている移民問題や難民問題、イスラム国のテロに対する人々の不満につけこみ、排他的な愛国心や国民主義(=行き過ぎたナショナリズム)をあおる形のポピュリズムが増えています。
行き過ぎたナショナリズムとポピュリズムが結びついた例として最も有名なのがナチスドイツです。
ヒトラーはユダヤ人に対し異常なまでの排他主義を貫き、多くの罪なき命が失われました。
それと同じような動きが世界で、特に欧米諸国で起こっているのです。
ポピュリズム=ナショナリズム、ではない

ここでひとつ気を付けておきたいのは、ポピュリズム=ナショナリズムではないということです。
確かに欧米諸国で話題になっているポピュリズム政党は、移民や難民に対して排他的な右派政党が多いのですが、ポピュリズム政党がすべてナショナリズムを利用しているかと言うとそうではありません。
ポピュリズムはあくまでも大衆受けに目を付けた政治手法や運動であって、その暴走が保守方面にいくかリベラル方面にいくかは分かりません。
国民の怒りや不満を助長する力があるポピュリズムは、国民感情を暴走させる危険をはらんでいます。