ミャンマーのイスラム系少数民族、ロヒンギャ

「ロヒンギャ」という人々を知っていますか?
ロヒンギャとは、ミャンマーのイスラム系少数民族です。
ミャンマー西部のラカン州を中心に、約100万人が住んでいると推定されています。
「推定されている」というのは、ミャンマー政府がロヒンギャを「不法移民」ととらえ、国籍も与えず存在しないものとして扱っているため、正確な人数が把握されていないのです。
ロヒンギャの中には迫害され、人身売買組織に売られていわゆる「難民ビジネス」に利用される人々も存在します。
近年、ミャンマーにおけるこうしたロヒンギャへの人権侵害問題と、彼らの難民化が国際社会で問題になっています。
ロヒンギャへの人権侵害問題

ミャンマーは、国民のおよそ9割が仏教徒です。
仏教徒が多数を占めるミャンマーにおいて、イスラム教徒であるロヒンギャは少数派。
15世紀~19世紀、当時ミャンマーを統治していたイギリスがラカン州に住んでいた仏教徒を追い出し、そこにロヒンギャの人々を住まわせたのが始まりです。
仏教徒の農地がイスラム教徒に奪われたことがきっかけとなり、ミャンマー国民は反ロヒンギャ感情を抱くようになります。
2010年以降ミャンマーで民主化が進むと、ミャンマー国民の反イスラム、反ロヒンギャ感情が爆発します。
2012年にラカン州で、イスラム教徒のロヒンギャと仏教徒のミャンマー人たちの間で大きな対立があり、約200人が死亡しました。
その後もロヒンギャの村がミャンマー軍によって焼き討ちされるなどの迫害が続き、多くのロヒンギャが難民化しました。
しかし、ミャンマーの周辺国はなかなかロヒンギャを受け入れようとしません。
2016年にはロヒンギャ難民の漂流が国際問題化しました。
求められるミャンマー政府の対応

人身売買や虐殺などロヒンギャへの迫害が続く現状に、国際社会からの批判が高まっています。
しかし、ミャンマー国民の反ロヒンギャ感情があまりにも強いため、政府もなかなか動けずにロヒンギャへの人権侵害問題を保留にしている状態です。
ロヒンギャの難民船はこうしている今も、難破の危険や人身売買組織に見つかる危険の中で行き場もなく漂流しています。
ミャンマー政府の真摯な対応が、一刻も早く待たれます。